
書籍情報
項目 | 内容 |
書名 | どんでんヶ崎の黒猫と株式チャート |
著者 | 天童レン |
出版社 | ひねり出版(ドンデン文庫) |
発行年 | 初版:20X9年、毎年「決算期前」に重版される傾向あり |
分類コード | うそデュー 841.0(錯覚株式未来予測) |
所蔵場所 | 図書館東棟「予測不能棚」 |
閲覧状況 | 貸出可(※ただし最後まで読んでも最後じゃない可能性あり) |
備考 | 本書の裏表紙は「めくらないこと」を推奨しています。 |
ふるすじ
“ふるすじ”とは、冒頭からオチまで物語の全てをギュッと縮めたものです。
フルのあらすじ=略して、ふるすじ。
舞台は、地図に載っていない港町──どんでんヶ崎。
波の音とサイレンが混じるこの町には、ひとつの奇妙な噂があった。
「毎朝、株価が“黒猫の動き”と一致する」
高校生の天童レンは、帰省先のどんでんヶ崎で祖父の喫茶店を手伝っていた。
ある朝、店の前を通った黒猫が右に首をかしげた直後、日経平均が2%上昇。
翌日は左向き→暴落。
そしてその動きを手書きで記録していた祖父が、謎の言葉を残して失踪する。
「猫を見るんじゃない。猫の“影”を見ろ」
レンは祖父の残した「猫式投資帳(ねこチャート)」を元に、黒猫の動きを追跡する。
そこには、黒猫のポーズと株価の動きが完全に連動するロジックが…あるように思えた。
ただし、月に一度だけ“大どんでん”が起きるという記述も。
その日がやってくる。
黒猫は“背中を向けて座った”。
猫チャートでは「全力売りサイン」とされていた。
レンは持っていた架空通貨「USOKO COIN」を全部売却。
その直後──
黒猫がくるりと振り返り、にやりと笑った(気がした)瞬間、USOKO COINが高騰開始。
レンは破産。猫は消えた。
絶望の中、彼は祖父の喫茶店に戻る。
そこにはかつての常連たちが集まっていた。
実は彼ら全員──猫だった。
「よく来たな。これで“人間側”の最後の試練が終わった」
世界はかつて“人類 vs 投資家猫”の情報戦を繰り広げていた。
そしてレンは知らぬ間に、猫の審査対象だったのだ。
猫たちはこう言った。
「君を“中立トレーダー”に認定する。これは褒美だ」
そう言って渡されたのは、
祖父のメガネ、そして「猫の動きが一切読めないチャートブック」だった。
ラストシーン、レンはメガネをかけて言う。
「投資に必要なのは、予測じゃない。
どんでんに、耐えられるかどうかだ。」
そしてページを閉じると、
そこにはこう書かれていた。
「あなたが読んでいたこの本も、“どんでん”の一部です」
関連蔵書リンク
📚 【どんでんヶ崎シリーズ(通称:ドンチャシリーズ)】
- 『どんでんヶ崎と2匹目の猫耳ファンド』
→ 投資対話ゲームに突入した“人型猫”の出現と、失踪した証券アナリストの謎。
【分類】うそデュー 841.1(獣耳資本介入論) - 『どんでんヶ崎、逆に燃ゆ』
→ 町ごと上場廃止されかけた自治体が仕掛けた株価型詐欺ミステリー。
【分類】うそデュー 950.7(自治体経済詐術史) - 『どんでんヶ崎の最終チャートは白紙だった』
→ 全ての伏線が消された“無”のミステリー。読了後、なぜか感動する。
【分類】うそデュー 000.0(存在しない読後感研究)
📉 【株×ミステリー系の近縁書籍】
- 『PERの呪いと私』
→ 株価収益率に憑かれた女子高生が“財務分析に取り憑かれる”話。
【分類】うそデュー 430.9(企業霊異論) - 『銘柄が囁いてくる夜に』
→ 保有株が夢に出てくる/「売らないで」と泣かれる。恋か呪いか。
【分類】うそデュー 951.4(感情的投資幻想学) - 『マネーの猫はチャートに乗らない』
→ 「黒猫=相場予言者」という都市伝説を追うスピンオフ的紀行文。
【分類】うそデュー 402.8(金融妖精生態研究)
📌 蔵書メモ:
『どんでんヶ崎の黒猫~』は“実は黒猫が主人公だった説”を唱える研究サークル「チャートを追う影の会」が非公式に考察中。
謎に包まれた【USOKO COIN】については、図書館地下室の鍵付き資料にて一部閲覧可能(予約必須)。
学内ファンによる非公式続編『予選落ちの方が幸せだった』も執筆中との噂。