【学食コラム001】味噌汁が温度で語る、恋のはじまり

うそこ大学学食にまつわるコラムをお届けするコーナー!
第1回は──

目次

「味噌汁が温度で語る、恋のはじまり」

── うそこ大学・恋味噌汁観測プロジェクトレポートより

「好き」という気持ちは、スープの表面温度に現れる。
これは、うそこ大学恋愛社会鍋研究会(通称:レンシャナベ研)が長年にわたり学食の味噌汁を観測して導き出した仮説である。

学食の味噌汁。いわば、それは誰にも平等に注がれる“湯の儀式”であり、日々の温度変化に学生たちは無関心だ。だが、私たちは気づいてしまった。味噌汁の温度には「恋の予感」が染み出す瞬間があるということに。

研究はこうして始まった。
まず、春学期のランチタイムにおいて、1,200杯の味噌汁を非接触型温度計で測定。そのうち、摂氏62〜66度の味噌汁を受け取った学生の約17.2%が、同日中に「ちょっと気になる人と偶然目が合った」と回答したのである。
特筆すべきは、63.8度。この温度を記録した味噌汁を手にした学生のうち3名が、その後2週間以内にLINEを交換。うち1組は「ちょっと一緒に帰るような感じ」になったとされる(ただし現在は既読スルー中)。

味噌汁は語る。熱すぎても冷たすぎてもいけない。
心を溶かすには、“気づかれないぬくもり”が最適なのである。

この事実に気づいた学食スタッフも、密かに協力を始めている。
昼のピーク前後に、わざと63〜64度に調整された「恋味噌ゾーン」が出現することがあり、スタッフいわく「あのあたりで配ると、なんかカップルできやすいんですよね」とのこと(※非公式証言)。
このエリアで配膳される味噌汁には、ごく稀にハート型のワカメが浮かぶことがあり、それに気づいた者は3日以内にちょっとした会話のチャンスを得るとされている(都市伝説レベル)。

現在、うそこ大学ではこの研究成果をもとに「味噌汁から始めるマッチング施策」の開発を進行中。具体的には、

  • 味噌汁温度で座席を誘導する「恋味噌トレー」
  • ワカメの量に応じて相性診断する「ワカメ・イン・ラブ」
  • 味噌汁を注ぐと音楽が流れる「恋出汁(こいだし)サウンドサーバー」

……などが検討されている。

恋のきっかけは、告白でもアイコンタクトでもなく。
——ほんのり湯気が揺れる味噌汁の表面だったのかもしれない。

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