【超判例集008】救出不履行に伴う精神的被害に関する魔王城監禁事件

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概要

  • 原告:プリンセス・メルリーナ・ヴェル=アルセリア(王国ランベルディア王女・拉致歴90日)
  • 被告1:ランベルディア王国
  • 被告2:特定勇者協会(勇者候補の登録・派遣を管理する組織)
  • 参考人:魔王ズルゾルーク13世(今回の拉致実行者・「ただ城に招いただけ」と主張)

原告は、魔王に連れ去られた後、塔の最上階にて待機を続けていたが、
いつまで経っても誰も助けに来ないため、「これは法的な放置ではないか」と考え提訴。

「王族であるにもかかわらず“助け待ち”状態が90日以上続いたことにより、
自己価値の喪失感、孤独、期待疲れ、そして“助けられ待ち鬱(Rescue-Wait Syndrome)”を発症した」として、国家および勇者機構に責任を求めた。

主な争点

国・勇者協会に“助ける義務”はあるのか?

  • 被告側は「魔王領への侵入には高い危険を伴い、慎重な判断が求められた」と主張。
  • しかし裁判所は、過去に同協会が**「姫がさらわれたら勇者が助けに行く」**というPRポスターを発行していた事実を重く見て、
    “期待形成責任”の一部を認定。

原告が実際に精神的苦痛を受けたか

  • 原告は塔の窓からひたすら空を見つめていた記録、
    毎日服を整え直していた習慣、
    「たぶん次は来てくれる」と日記に書かれた跡を証拠として提出。

魔王の関与

  • 魔王ズルゾルーク13世は「監禁ではなく“おもてなし”だった」と主張し、
    塔内にTV・三食・ロイヤルクッションが提供されていた事実を提示。
    ※ただし“鍵が外からしか開かない”という点で、事実上の隔離と認定。

判決

「本件は、勇者制度および王族保護体制における“文化的期待”の信頼が裏切られた事案である。
原告は、“誰かが来てくれる”という物語的信念のもと、日々を耐えた。
よって以下の措置を命じる:

  • 王国は原告に対し、“励ましのファンファーレ”の毎朝提供(6ヶ月間)
  • 勇者協会は原告に**“名誉勇者”の称号を贈り、償いとして黄金のスライムを2体進呈**
  • 原告の精神的被害に対し、慰謝料200,000ガルド(王国通貨)を支払うものとする。
  • なお、魔王には再発防止として、“塔の施錠は内鍵に切り替えること”を推奨

裁判後の動向

  • 原告は「今後は誰かを待つ人生じゃなく、自分が助けに行く人生にしたい」と語り、冒険者ギルドに加入。
  • 魔王ズルゾルーク13世は判決に対し「そう言われると思ってた」と苦笑しながら、玄関にチャイムを取り付けた。
  • 本判例により、**“監禁=監禁か否か問題”と“救助期待の公共性”**が大きな論点として再浮上。

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